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培養物の馴化(順化)

馴化(順化)とは
 器内で培養した苗はやがて取り出して生産への利用が行われる。しかし,特殊な環境で育った苗が,外界の環境にすぐに適応することは困難で,いわゆる”ならし”が必要である。これを馴化といい,二つの段階に分けて考えることができる。
 第一段階は,培養器内にある状態で徐々に光線量を増やしたり,温度変化を与えて,茎葉や根を充実させる段階である。
 第二段階は,培養器内から取り出して栽培を始めるまでの”ならし”で,基本的には次の三点に留意しなければならない。

A 病害虫の侵入を防ぐ
○根に付着している寒天をよく洗い落とす。
○用土はバーミキュライト,パーライト等の人工培土や水苔等を用い,殺菌消毒してから使用する。
○雨に当たらない室内で管理する。

B 乾燥を防ぐ
○ビニール袋で鉢全体を覆うか,苗の大きさに合ったビーカーで苗を覆い,空中湿度の保持に努める。
○定期的に苗全体に水を噴霧し,苗の乾燥を防ぐ。
○ビニール袋の口を徐々に開き,自然の環境に馴らす。

C 徐々に光りや外気に馴らす
○いきなり直射光線に当てず,室内の散乱光で管理する。
○寒冷紗等で光量を調節し,徐々に光を強める。
 以上のような方法て自然環境に馴らしていくが,馴化の期間は植物により異なり,ユリやイチゴでは植え出し後2週間くらいでビニール袋やビーカーがとれる。その後2週間くらいで新しい茎葉が生育してくるので,培養土への移植が可能になる。


フレーム 寒天の除去
培養容器から苗を取り出し,根に付着している寒天を水でしっかり洗い流します。
フレーム 鉢上げ
今回は素焼きの鉢を使いました。これが通気性が有っていい感じです。苗の根に水苔を巻鉢に植え付けます。
フレーム 湿度の保持
ビニールの袋の中に入れ,息を吹き込み膨らませます。口は輪ゴムで縛っておきます。
順化完了
 約1ヶ月の順化作業も完了し,自然界で元気に生育しています。
表面が乾いたら,灌水をしてやり,定期的に液肥を与えるなどし,成長を待ちます。
 適当な時期に,培養土に移植するといいでしょう。


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